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ヒロシマ・ナガサキ

オバマ大統領の広島訪問をテレビの生中継で見ることができた。演説後、被爆者のところに自ら歩いていき、手をつないだまま話し、抱きもした姿に感動した。この訪問をどう受け止めるかは議論があるが、平和に向かう歴史的な瞬間だったと信じている。

 

原爆被害者の状態を調査するために、1946年に広島市にABCC(原爆障害調査委員会)というアメリカの研究機関が設置された。「調査はするが、治療はしない」という方針だったらしく、被爆者の中には「モルモットのように扱われた」という感想を持つ者もいたらしい。原爆投下は、人体被害を含む実験的側面も持っていた。オバマ大統領の訪問は、原爆で散った命を、アメリカが初めて尊重した瞬間と見ることが出来るかもしれない。

 

アメリカでは、「原爆投下は、戦争の終結のために必要だった」と主張し、原爆を正当化する人が多い。平和学者達は、これに真っ向から反対する。平和学者の考えは「当時の戦況からして日本の敗北は決定的であり、わざわざ原爆を投じる必要はなかった。原爆はソ連へのけん制のために使われた」というものである。僕も、平和学者たちの考えに同意する。

 

平和学では、広島と長崎の原爆経験が思想化され、カタカナで「ヒロシマナガサキ」と表現されている。一人一人の命の尊さを出発点とする理論が、国際政治の中で生かされる日がいつか来てほしい。

 

 

はじめて出会う平和学―未来はここからはじまる (有斐閣アルマ)

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