読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ある後輩の物語1

昔々、生物学者を目指して受験勉強にいそしむ一人の浪人生がいました。勉強も運動も得意でなく、何かとイマイチさえない彼でしたが、生物が好きで、大学に行って生物の勉強がしたいという志は輝いていました。彼のことは、S君と呼ぶことにしましょう。

 

秋、だんだんと気温が下がり、Sが通っていた予備校が受験に向けて気が張り詰めつつある時期に、彼はインターネットで面白い研究室サイトを見つけました。田んぼの虫、川の魚、きれいなキャンパス。。そのサイトを見たとき、彼は初めて、楽しい大学生活を思い浮かべました。

 

元来行動派の彼は早速、その研究室の教授にメールを送り、会う約束を交わして大学を訪問しました。

 

教授は穏やかに優しくSに対応しました。教授がまず彼に話したのは、生態学で著名なロトカーボルテラのモデルの話でした。食うものと食われるものとの関係・・教授は彼に、自然界の現象を理論的に理解することの面白さを伝えようとしたのでした。そして教授の話は、研究室の学生たちの研究テーマにうつります。話だけでは終わりません。教授はSを連れて、院生のいる研究室を案内しました。院生達もまた、魚の行動映像などをSに見せ、各々の研究内容を話してあげたのでした。

 

そして翌年の春、Sはその大学に見事、入学を果たします。

 

続く